【 絹本著色 一幅 室町時代 誕 生 寺 ( 千葉県 鴨川 ) 】
日蓮は、僧網衣・七条袈裟・横被を着用して座し、右手に檜扇、左手に経巻をとる説法姿である。
手前の経机に法華経並びに開経・結経のうち九巻、小□子と柄香炉が置かれ、巻五を手に取る。がっしりとした
体□をとる、壮年期の日蓮画像である。
本図は、画面左下に朱印一顆と共に身延山久遠寺十七世 日新(1535〜1592)の自署・花押が記され、さらに二行にわたり
墨書があるが、判読は困難である。ひようし背銘によれば、「吉定斎日現授与之/天正九年卯卯月吉辰」と記されており、
これに相当しょう。 吉定斎日現は同寺の信徒であろすが、未詳である。
右上部にも六行の墨書が確認され、判読される文字から法華経如來神力品の一節であることがわかり、ひょうし背銘に
「神力品四句ノ要法」と記されてることと対応している。
(身延山大学教授 寺尾英智 解説 による)
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