《 文 説 》
星 月 夜
星月夜は坂之下村にあり。極楽寺の切通へ上る坂の下なり。『後堀川百首』常陸の歌に、「我ひとり鎌倉山
を越え行けば星月夜こそ嬉しかりけれ。』 又、法印堯恵が文明中の紀行に、極楽寺へ至る程に、いとくら
き山間に星月夜という所ありと見ゆ。
此地に井あり。鎌倉十井の一なり。星月夜の井と呼ぶ。
昔は井中に昼も星の影見えしと伝ふ。傍らに堂あり。 明鐘山星井寺としふ。極楽寺村成就院の持なり。
本尊虚空蔵の像を安ず。本仏は行基、前立は運慶作る所といふ。
東照大神君様(徳川家康のこと)、慶長5年6月、当所をも歴覧したまひし事、其頃の書に見えたり。
|