日蓮聖人・画像特集F

【 日 蓮 聖 人 坐 像 】   ( 本 政 寺 )
【日 蓮 聖 人 坐 像】(本 政 寺)
         《 出典 『鎌倉の日蓮聖人 中世人の信仰の世界』神奈川県立博物館 特別展図録
                                 神奈川県立歴史博物館編集 日蓮宗神奈川県第二部宗務所発行        (平成21年10月17日)発行  》

      【 木造彩色   桃山時代   本 政 寺 ( 大 阪 )  】

僧網衣に袈裟、横被を着け、右手に笏、左手に経巻を執る日蓮聖人に通例の説法像である。

寄木造で玉眼篏入、彩色仕上げとする。

像高:51.2糎。 像の背面に表面彩色の上から墨書した銘があり、それに三種の内容が書かれている。

@ 本像の開眼が正応元年(1288年)日法上人によるものとする銘であるが…銘文形式かや本像の作風からみて、ここまで遡る

とは到底考えられない。…近世の追記と見られる。

本像の制作は一応、元和二年(1616年)以前と考えられる。
実際、強い意思的な面部表情や、量感のある体躯などに大らかな
表現が見られ中世作例的要素を見る。一方大きく膝外側に撓めた袖先の形や、形式化した裾の衣文などは日蓮宗肖像彫刻

としては時代の下降を示すものであり、制作時期については、元和二年を余り遡らない年代と見るべきと考えられる。

本像は日蓮聖人像としては法量もあり、本格的な基準作として重要である。

                                      (薄井和雄 神奈川県立博物館学芸部長 解説 による)



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