《 出典 「頼朝と鎌倉文化」 佐野美術館 編集・発行 》
| 形状 |
| 特 |
色
| この画像は右手に印を結び、左手に念珠を執って坐す上人の姿を描いている。 上方には飛鳥模様のある色紙型を置いているが、賛文等は記されていない。 全体に比較的太い線で象形され、衣は墨隈を用いた伝統的な画法により、相貌も大づかみに表せらている。 画絹の左右にいくらかの切り縮めはあるものの、画面一杯に描かれた堂々とした姿には、若き日の情熱的 行動や出家後の荒行、また精力的な神護寺復興活動など、『平家物語』諸本の伝える荒法師を彷彿とさせ るものがある。 本像は『神護寺略記』阿弥陀堂条に「文覚上人真影一鋪 右京権大夫隆信筆」と記されているものに当る 可能性がある。 けれども、筆者については、似絵の画家である隆信をこうした記念的大像の筆者とする には無理があり、別に神護寺で仏画制作を行っていた宅間俊賀とする説もあるが、断定は困難である。
| |
|