【 木造彩色 室町時代 上 国 寺 ( 神奈川県 茅ヶ崎市 ) 】
本像は僧網衣に袈裟、横被を着け、右手に笏、左手に経巻を執る日蓮聖人に通例の説法像である。
寄木造で玉眼篏入、彩色仕上げとする。
像表面を覆う後補の彩色により、やや人形化したように見える像であるが、つぶさに見ると生気のあるしっかりとした表貌表現
や、丁寧な衣文彫出などがうかがえ、さらに三角や尖った両袖先の形などから、中世の日蓮系肖像彫刻であることがわかる。
像内頭部前面に「三月日 永正十一年 作之」の墨書があり永正十一年(1514)の造像年が判明する。
日蓮彫像の変遷を考えるうえで基準となる作例のひとつとして重要である。
(神奈川県立博物館 薄井和雄学芸部長 解説 により)
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