【 木造彩色 桃山時代 本 政 寺 ( 大 阪 ) 】
僧網衣に袈裟、横被を着け、右手に笏、左手に経巻を執る日蓮聖人に通例の説法像である。
寄木造で玉眼篏入、彩色仕上げとする。
像高:51.2糎。 像の背面に表面彩色の上から墨書した銘があり、それに三種の内容が書かれている。
@ 本像の開眼が正応元年(1288年)日法上人によるものとする銘であるが…銘文形式かや本像の作風からみて、ここまで遡る
とは到底考えられない。…近世の追記と見られる。
本像の制作は一応、元和二年(1616年)以前と考えられる。実際、強い意思的な面部表情や、量感のある体躯などに大らかな
表現が見られ中世作例的要素を見る。一方大きく膝外側に撓めた袖先の形や、形式化した裾の衣文などは日蓮宗肖像彫刻
としては時代の下降を示すものであり、制作時期については、元和二年を余り遡らない年代と見るべきと考えられる。
本像は日蓮聖人像としては法量もあり、本格的な基準作として重要である。
(薄井和雄 神奈川県立博物館学芸部長 解説 による)
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